BUSINESS SUMMARY
事業概要
ABOUT 拠点設立の背景と目的
本拠点は、人間文化研究機構によるネットワーク型基幹研究プロジェクト「地域研究推進事業」として計画された4つの地域研究プロジェクト「グローバル地中海地域研究」「環インド洋地域研究」「海域アジア・オセアニア研究」「東ユーラシア研究」のひとつを担うものとして北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターに設置された。
本拠点が担う「東ユーラシア研究」の目的は「東ユーラシアの文化衝突とウェルビーイング」の解明にある。ここでいう東ユーラシアは中国とロシア及び隣接するモンゴル・朝鮮半島・日本を中心として、その隣接するないし関与する広域というゆるやかな地域概念を指す。
事業の狙いは巨大国家である中国とロシアを抱える東ユーラシアの存在がグローバル世界に及ぼす影響力を、文化の衝突とウェルビーイング(幸福感)という視点で捉えようとすること、とくに政策や国際関係、経済のグローバル化を踏まえながらも、中国・ロシアおよびその隣接国家に暮らす人々に焦点をあて、彼らの行う宗教、文化、経済、政治などにかかわる活動が、いかなる文化衝突を引き起こし、また共生を生み出したのか、近現代史的背景を踏まえながら展開の実態を明らかにする。基軸となる問いは、異なる文化的背景をもつ個人・集団が遭遇・交流することでどのような問題が発生し、解決されたのか(されなかったのか)、さらに彼らの幸福実現にむけた希望の社会的文脈を明らかにすることである。
この「東ユーラシア研究」のプロジェクトは、東北大学東北アジア研究センター拠点(中心拠点:テーマは「マイノリティの権利とメディア」)、国立民族学博物館東ユーラシア地域研究拠点(「宗教とサブカルチャー」)、神戸大学国際文化学研究推進センター東ユーラシア研究拠点(「少子高齢化と葛藤」)及び本拠点、すなわち、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター拠点の4つで構成される。
本拠点は「越境とジェンダー」をテーマとし、ボーダースタディーズにおける境界付け([b]ordering)と空間に関わるスケールジャンプなどの手法を援用し、観光や就労、人身売買等を含めた域内外への人々の移動に焦点を当てる。移民の受け入れと送り出しは世界各地で生じている現象だが、一帯一路構想のもとで、アフリカや北極域までの移動・移民する中国と、ロシアに流入する移民展開を追うと同時に、性差による分業やジェンダー規範のグローバル化等の視点を踏まえて、その場に暮らす人々の生活の視座からそれぞれの地域(コミュニティ)のあり方を解明する。またコロナ禍(ポストコロナ禍)における人とモノの移動を検証し、地域のあり方も展望する。
AREA 拠点の射程
本プロジェクトでは、すでに述べたように、東ユーラシア地域を中心に、越境とジェンダーに関わる問題を軸として、ボーダースタディーズなどの理論的枠組を踏まえ、総合的かつ包括的な研究を進める。日本、韓国、北朝鮮、中国、ロシア、モンゴル、台湾などの諸国・地域の諸問題を、国家レベルに集約することはなく、マクロなエリアとミクロなリージョンの位相差と多面性を念頭におき、様々なスケールにおいて分析する。さらに東ユーラシア地域を超えた諸問題と地域の相互作用や地域における比較などの視座も重視する。当該問題群に関しては、人文社会系の総合知といった観点から、学際的なアプローチを持ちいるとともに、実社会との共創に基づく、人びとの生活に対する貢献も射程におく。
DIRECTION 本プロジェクトの方向性
本プロジェクトでは主に以下の問題群について
研究を進める予定である。
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01
コロナ及びロシアのウクライナ侵攻後による国際秩序と社会の変貌
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02
戦争と人の移動/戦争とジェンダー
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03
国際秩序における難民・移民レジームの再検討
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04
東ユーラシア諸国(特にロシアと中国)のマスキュリニティ
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05
ジェンダーと(非)モビリティの実態と構造
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06
東ユーラシア地域及び諸国の文化コードと移民政策
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07
東ユーラシア地域に関わる「外国人」労働者の国際移動とジェンダー
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08
東ユーラシア地域におけるノンバイナリーとマイノリティの諸問題
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09
ローカルな場における移民とジェンダーの実証と比較
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10
東ユーラシア地域におけるコロナおよびポストコロナ時代の国際移動とジェンダー
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11
国際移動がもたらす世代間のジェンダーをめぐる諸問題
EXAMPLE 研究課題例
本プロジェクトが検討している
研究課題の一例
- プーチンのウクライナ戦争をジェンダーから考える
- ロシアのウクライナ侵攻における性暴力:第二次世界大戦との比較
- 愛国と女性
- マスキュリニティが進む中国の現状
- コロナはジェンダーと移民に何をもたらしたか
- 日本の自治体における外国人受入制度と「共生」
- ケア労働者の国際移動とケア労働の構築
- 人身取引、DV、トランスナショナルフェミニズム
- 西側の経済政策とロシアの外国人労働
- ロシアにおける中国人市場のランドスケープ
- ジェンダーの視点から見るコロナ及びポストコロナ時代の中国大都市の家族関係の変容
- 国際移住とジェンダー:海外中国系家族における親子関係の諸問題
- ポストコロナにおける東アジアの国際結婚の現状・変容・課題
など
ORGANIZATION 組織構成
拠点構成員(core members)
- 岩下 明裕 (代表) 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター・教授
- 池 炫周 直美 (副代表) 北海道大学公共政策大学院・教授
- 青島 陽子 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター・教授
- 松本祐生子 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター・特任助教
研究分担者(co-researchers)
- 中地 美枝 北星学園大学文学部・教授
- 堀江 典生 富山大学学術研究部社会科学系・教授
- 小川 玲子 千葉大学大学院社会科学研究院・教授
- 郝 洪芳 ミシガン大学日本研究センター・アフィリエイト
- 井上岳彦 大阪教育大学多文化教育系・特任准教授
研究協力者(research collaborator)
- 五十嵐 徳子 天理大学国際学部・教授
- 田村 慶子 北九州市立大学法学部・名誉教授
- 斎藤 慶子 早稲田大学文学学術院・講師
- 中山 大将 北海道大学経済学研究院・准教授
- 大茂矢 由佳 埼玉大学大学院人文社会科学研究科・講師
スタッフ(staff)
- ヴィクトリア・アントネンコ 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター・学術研究員
- 亀田 望 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター・事務担当
PARTNERSHIP パートナーシップ
- 富山大学持続可能社会創生学環グローバルSDGsプログラム (大学院)
- 千葉大学移民難民スタディーズ
ほか、随時更新