EES共催スラブ・ユーラシア研究センター冬期国際シンポジウムは成功裏に終了しました。
2023.12.19
ニュース
2023年12月7~8日に冬期国際シンポジウムが開催されました。
今回のテーマは”Borders, Boundaries and War across Eurasia: Cycles of Violence and Resilience”でした。センターは、大学共同利用機関法人人間文化研究機構ネットワーク型基幹研究プロジェクトのグローバル地域研究推進事業「東ユーラシア研究プロジェクト」(以下EES)における四拠点のひとつ(他に東北大学、国立民族学博物館、神戸大学)として、文化衝突とウェルビーイング、とりわけ「越境とジェンダー」を中心テーマとする事業を実施しています。今回の国際シンポジウムは、EES四拠点が輪番で開催する国際シンポジウムという位置づけでもあり、科学研究費基盤研究(A)「戦後北東アジアにおける歴史的分岐点のマルチアーカイブ分析」とともに主催することになりました。シンポジウムは対面・オンライン併用のハイブリッド形式で開催され、外国からは、ウクライナ、ロシア、イギリス、アメリカ、フィンランド、モンゴル、オーストラリア等12か国計13名(内オンライン3名)が参加し、国内からの参加者を含め盛会となりました。
第1日目の内容をEESが担当し、基調講演を含め10の報告がなされました。パネル1では日本、フィンランド、モンゴルというロシアの隣国の視点からウクライナ戦争を議論し、そのあとの基調講演と合わせて、ボーダースタディーズの研究成果が示されました。パネル2では、「戦争とフェミニスト」をテーマに、ウクライナ戦争における女性たちの闘いが描き出され、パネル3はプーチン体制下における市民の抵抗運動やクィア・セクシャリティの動向が分析されました。第2日目は北東アジアの冷戦に関する6本の報告が行われました。パネル4では戦後北東アジア史において日本が果たした役割について、パネル5は台湾、モンゴル、韓国という地域と冷戦の関係が議論されました。第1日目と第2日目の内容はつながりが薄いように見えますが、現在ウクライナやパレスチナで起きていることの根幹には戦後の国際政治秩序のあり方が問われており、第1日目の関係者は戦後北東アジア史の事例から学ぶべきところは多いと、熱心に議論を聴いていました。エクスカーションでは北海道博物館を訪問し、外国ゲストから日本におけるアイヌ復権運動や女性運動について熱心な質問を受けたことが印象的でした。また、EES国内参加者からは、今回の登壇者を軸に別な研究プロジェクトを企画したいという意見もあり、さらなる研究協力の拡大につながる有意義なシンポジウムとなりました。[井上]